萌の朱雀
ライフアドアの中村太一です
かれこれ十数年前の夏、友達から借りた一冊の小説「萌の朱雀」
その物語は深く、そして温かく今も心に残っています
その夏の昼下がり。静かに小説を開き読み始めると、日が暮れるころには大粒の涙が一つ、二つと頬を流れていました。。
それから自分でも萌の朱雀の小説を購入し大切に持っています。
萌の朱雀は1997年に公開された河瀬直美監督の映画で、小説は公開後、河瀬さんが映画の中の女の子「みちる」になってもう一度、萌の朱雀の世界を体験しながら書き下ろされた作品です
カンヌ国際映画祭でカメラ・ドール(新人監督賞)を受賞された萌の朱雀は、奈良県西吉野の山々に囲まれた村に住むある家族の物語
萌は兆しや芽生えという意、朱雀は中国の神獣で夏を象徴し、芽生えの夏を意味しています。
過疎化が進む西吉野村に家族5人で住む田原家。
つつましながらも幸せな生活が過ぎていく夏のある日、父孝三は8ミリカメラを持って出かけたまま帰らぬ人となり、そして家族は離散していくのです。
残された8ミリカメラに写された村や村の人々、その映像が物語るもの。
父の存在。
家族はそれぞれ哀しみと想いを秘めながらも、それぞれに想いが芽生え、そして新たな日を迎え生きていく。
吉野の美しい山々は幾千年と変わらずそこにあり、悠久なる自然の中で繰り返される人々の営み。
誰もが思い出の中に持っているはかなく美しい記憶を思い出させるような作品です
最近また読み返し深く感動しました
萌の朱雀
映画も小説も素晴らしい作品ですせびご覧下さい