吉田亮人 Falling Leaves

吉田亮人 Falling Leaves

ライフアドアの中村です。只今開催されているKYOTO GRAPHIEへ行ってきました。
数カ所展示会場を見て回りその中で一番印象に残ったのが、吉田亮人 Falling Leavesという作品でした。

吉田亮人 Falling Leaves

吉田亮人 Falling Leaves

Falling Leavesは、吉田さんの祖母と従兄弟の大輝さんの生の記録を追ったドキュメンタリー作品です。
大輝さんとおばあちゃんの何気ない日常が写し出されているのですが、作品のキャプションを読んでとても考えさせられました。 

吉田さんの祖母は、忙しい大輝さんの両親に代わって幼少期より彼を大切に育て、同じ家に住み、同じ部屋で生活を共にし、祖母の愛情を浴びるように受けて育ってきた大輝さんは、看護大学に通うようになってからも祖母と離れることはなく、80歳を超え体の弱くなった祖母を献身的とも言えるほどの世話をしながら祖母との生活を続けてこられたそうです。

吉田亮人 Falling Leaves

吉田亮人 Falling Leaves

そうやって長い時間をかけて育まれた二人の時間は、祖母と孫という関係性を越えて双方ともに流れる特別な信頼と愛情が築かれていったようです。 

写真からは親子のような恋人のようなどこか不思議な愛情を感じさせられます。
吉田さんにとっては当たり前の光景だった二人の小さな日常でしたが、写真家としてファインダー越しに描写し続けた写真を見るにつけ、当たり前の光景が次第にかけがえのないものとして映るようになっていったそうです。

吉田亮人 Falling Leaves

吉田亮人 Falling Leaves

このストーリーの結末は何の前触れもなく突然に訪れるのです。
2014年2月末、突然行方不明となった大輝さん。
何の手がかりがも得られないまま、一年が経過したある日、帰らぬ姿となった大輝さんが森の中で見つかったのでした。 

大輝さんは祖母を置いて、何も言わず、何も残さず、23年の生涯を自ら閉じたのです。
青々とした若葉がいくつかの季節を巡った後、落葉するかの如く。
そしてその翌年、大輝さんを追うかのように祖母は他界されました。。

吉田亮人 Falling Leaves

吉田亮人 Falling Leaves

作品を前に思わず涙が溢れました。
温かくて、優しくて、ふたりのまばゆいような愛情。そして切なく、なぜ。。っという思い。 
会場を後にしてもずっと頭の中に残り、深く深く心の奥に響いてくる。
ただ哀しいのではなく生きるということを考えさせられ、魅せられました。
写真の展示を見てこんな感情にさせられたのは初めてでした。
二人にありがとうと言葉だけが残ります。 

この作品の説明文はブログをご覧頂いた方にぜひそのストーリーを知ってもらいたいと思い、作品のキャプションを引用させていただきました。
KYOTO GRAPHIEは5月14日まで開催されています。皆さまもぜひ行ってみて下さい。

吉田亮人 Falling Leaves