遠藤周作「深い河」

この夏、乱読した本。横山英夫「クライマーズ・ハイ」モーム「月と六ペンス」森見登美彦「四畳半神話大全」荒俣宏「妖怪大戦争」白州正子「いまなぜ青山二郎なのか」夢野久作「少女地獄」等々…
しばらく本が読めてなかったので、夏休みにここぞとばかりに読み漁りました。
その中で一つご紹介。

遠藤周作「深い河」

遠藤周作「深い河」

良い良いとは聞いていたのですが、ようやく読めました。
読む前から大きな期待を抱いていましたが、それを軽く上回る静かな、そして深い感動でした。
物語を通して流れる普遍的な問い。
生と死、身分と不平等、富と貧困が混沌としたインド、そのインドでガンジス河に寄り添い生きる人々の描写。
死と再生の物語。


私はずっとインドに憧憬を抱いている為余計に美しく心に響きました。

突然の病で先立った妻の生まれ変わりを求めて、インドに旅立つ男。
妻を亡くすまでは、輪廻転生など信じてもいなかったのに。
喪失感に背を押されるかのように。
果たして彼は生まれ変わった妻に出会えるのか。
元々遠藤さんが好きでした。
彼のエッセイから、彼がキリスト教徒である事は知っていましたが、キリスト教では輪廻転生の考えがないと聞いていたので、この本で輪廻転生を取り扱っているのが意外でした。
登場人物には敬虔なキリスト教徒も主要人物として出てきます。
生とは?死とは?信仰とは?意義ある人生とは?この世の救いとは?
多くの問いが投げかけれられ、そして物語は幾人かの交錯する人生を乗せて流れてゆく。
偏った考えに拠っているわけではなく、神がかった特別な奇跡が起きるわけでもない。
特定の宗教を持ちながらそれのみに限られない作者の広い世界観に感服です。
秋の夜長に、無辺の世界に思いを馳せるのはいかがでしょう。