容疑者Xの献身
東野圭吾氏「容疑者Xの献身」読みました。福山雅治、柴崎コウ出演でTVドラマ化、その後映画化もされた「探偵ガリレオ」シリーズの初の長編です。
今回、初めて読んだのです、東野圭吾氏。面白いとの噂は常々耳にはしていました。
この「容疑者Xの献身」もハードカバーが本屋さんに平積されている時、印象的な題名と装丁に心惹かれた事もありました。
この本を読む前に同シリーズの「探偵ガリレオ」「予知夢」を読んでから読むと尚良し、と勧められその通りに読みました。
草薙刑事が超常的な事件を天才物理学者・湯川の科学的な推理を頼りに解決していく、というのがこのシリーズなのですが、謎解きが面白い
私はほとんど知らないような科学の分野がトリックに使われていますが、謎が解かれた時の爽快感が格別です。理系の分野も面白いもんだなあと興味が沸くぐらいです。
前二作は短編集でどれもさらりと読める感じで、長編はどんなだろうと思いつつ読み進めていったのですが、これは本当に素晴らしいと思います。
一人の男が他殺体で発見される。
浮かび上がって来た容疑者はその男の別れた妻。
警察はその女を調べるがその女にはアリバイが…。
何の変哲もない事件に思われた、その女の隣人がかつて天才と呼ばれ湯川が唯一人認めた数学者の石神と分かるまでは…。
前二作を読んで、東野さんは簡潔で淡々とした筆をお持ちだと思いました。
過剰な装飾も必要以上の演出もない、だからこそ一つ一つの言葉が磨かれ効果を持ちます。
容疑者Xの献身でもそうです、淡々と進んで行くのですがその分最後の真実がなんと重くのしかかってくる事か…。
これは石神の話です。石神が主人公です。
勧めて下さった方がそうおっしゃってました。
石神の純愛に心打たれます
今回は所々数学に触れる箇所が出てくるのですが、その内容も大変面白いです。
あ~~数学ってこんな面白いもんだったのか~、と感嘆。
科学の芽が蒔かれていくようです。
常は飄々として感情を表に出さない風の湯川が珍しく苦悩する様も見られます。
まさに長編ならではの深い人物描写、謎、幾重もの人間関係、石神の純粋さを引き立てる様な数学の美しさ。
哀しく美しい愛に打ち震えます
良い書に出会えました。
ユージュアルサスペクツに引き続き、お勧め下さってありがとうございます