円空と木喰展

少し前になりますが、11月いっぱいまで京都駅ビル内美術館「えき」で開催されていた「円空と木喰展」を見に行きました。
円空と木喰、どちらも全国各地を放浪しながら様々な土地で仏像を彫り、その生涯の中で数多くの仏像を残した僧です。
非常に有名なお二方なので、名前を聞かれた方も多いのでは。
民衆の信仰の為に全国を行脚し、何千体もの仏像を彫る事を自らの修行とし悟りへの道とした方々です。
多くの共通点を持つ二人ですが、作風は全く異なります。
華美な装飾を一切取り払い、最小限に抑えた表現でむしろ抽象造形のような趣の円空仏。
荒削りな仏、と評されています。

円空と木喰展

木喰仏は柔らかでふくよかな笑顔を湛えた仏が多く、「微笑仏」と呼んだのは柳宗悦。
全体も丸いシルエットで木喰本人の暖かな心根が映し出されたような仏です。

円空と木喰展

どちらもお寺で多く目にするような仏像とは異なるお姿ですが、その土地土地で大切に信仰されていたのは変わりありません。
庶民の為に仏像を彫り、庶民に身近な僧や仏として愛された事も二人の共通点です。
テレビで円空か木喰かどちらかの特集をしていてどちらだったかはっきり覚えてはいないのですが、その中で印象的なエピソードがありました。
どちらかの仏像が数多く残っている土地があり、その土地の方が話しておられたのですが、その地では仏像が沢山ある為か仏像がとても身近で、子供時代は仏像を遊び道具のようにして遊んでいたそうです。
シーソーにしたり川で浮き輪代わりにしたり…。
申し訳なさそうに少しはにかみながら話しておられました。
円空、木喰共にこんなエピソードは多いようで、出展されている仏でも子供達が持ち出して遊んだ為すり減ってツルツルになっているものがありました。
仏像は高貴で手の届かないもの、という思いがありますが、土地に根ざして民衆と同じ高さまで降りて来て下さってるような、身近に感じられるこんな仏様もステキだなあと思いました。
安住する地を持たず己の体一つで全国を巡り身を削りながら普通では考えられない程の多くの仏像を残した二人。
その厳しい状況の中で生まれた仏のなんたる優しさ。

円空と木喰展

ちなみにADOREには大変立派な木喰の図鑑のような本がありますきらきら
この本を作るのに携わられたお客様が下さったものです。
初めて見た時は感動しました!!
本当にすごく立派な本なので、興味がある方はぜひご一読をにこにこ