獣の奏者
このお正月に読み耽った本です。上橋菜穂子「獣の奏者」
ほんとに私は新書を買わないのですが、一気に四冊も買ってしまいました。
きっかけはこの本のアニメ版。
たまたま目にして、絵柄から子供向けという印象を受けたのですが見ている内に牧歌的な絵に似つかわしくない程壮大で深い、感動的なストーリーにぐいぐい引き込まれました。
テレビはどうしても毎回見るのは難しいので、内容が余計に気になってしまい原作があると知って迷わず全四冊購入。
ファンタジーが苦手、とおっしゃる方は割と多いように思います。
でもこれは実在しない世界を描いてはいますが、人間というものに深く迫る、遠い夢物語にとどまらない深遠な物語です。
底無しの好奇心と探求心を持つ少女・エリンと人には決して馴れぬ孤高の獣・王獣リランとが綱渡りで絆を紡いでいくが、謎を秘めた鉄の戒律・闇にうごめく権力争い・憎悪の連鎖…
あらゆるものに翻弄され、あまりにも過酷な運命へと流されて行く。
どうしても争いを求める悲しい人の性や立場によって変わる正義など簡単には答えが出ない深い問いが次々と物語の大きな流れに乗って立ち表れ、それは読後にも消えません。
個人的に2巻目の「王獣編」が好きです
本来は1、2巻で完結だったのですがアニメ化の制作に携わる中続きは書かないと決めていた作者の中で変化が起こり3、4巻の刊行へと至ったのです。
作中、外でも色々なドラマを秘めたこの作品、児童書の分野で売られていましたが子供さんだけのものにしておくのは惜しいです。
アニメから入られるのもお勧めです