誘拐ラプソディー

LIFEの杉山です。小説「誘拐ラプソディー」は借金に追われた男が身代金目当てに少年を誘拐をして逃走しつつ身代金を手に入れようと奮闘するお話です。

誘拐ラプソディー

誘拐犯が主人公ではありますがこの男、駄目人間ではありますがどこか憎めなくて愛嬌があります。
また誘拐した少年の親がヤクザだとも知らずに身代金を要求するんだから救いようがありません。
それを追う警察、少年の親を狙うチャイニーズマフィアも入り乱れてのドタバタ劇。
荻原浩の初期の作品はコメディータッチの中にほろりと泣きも入ったお話が多く見られるように思います。
この作品の主人公は駄目人間とわかりながらも、現代人が抱える悩みを彼というキャラクターは反映しているように思います。
誰もが心の何処かで今の自分の先にある明るい未来を夢見るけれど甘い汁を吸おうとすれば現実ってそんなにあまくなくって。そんなもんですよね。
でもどうしようもない人間にも真心があれば少しばかりの救いは用意されているんだよ、ってお話です。
興味がおありの方はよろしければどうぞ。
ほっこりやさしい気持ちになれると思います。
とっくに文庫化もされております。

誘拐ラプソディー