Astor Piazzolla 「Tango:Zero Hour」
「これは紛れもなく、私がこれまでの生涯で作り得た最高のレコードだ。我々はこのレコードに魂を捧げた。孫たちに聴かせて、『これが私たちが命をそそいだレコードだよ、こんなに複雑なことをやっていたんだよ』と言えるレコードだ」
―アストル・ピアソラ
ライナーにはこう書かれている。
Astor Piazzolla 「Tango:Zero Hour」
American Clave / Nonesuch
American Clave / Nonesuch
10数年前のある日に、CD SHOPにてバンドネオンを持つ一人の老人の写真に目を奪われた。
光沢がある美しいジャケットカバーで、Astor Piazzolla 「Tango:Zero Hour」と書かれていた。
タンゴにあまり馴染みのない自分でも、名前は知っている有名な御仁のCDであった。
即買いしてさっそく帰宅後に聴いてみたのだが、あまりにもの濃厚な音空間。
研ぎ澄まされた緊張感が途切れる事のないテンションでいて、情熱的で官能的なプレイの連続に正直悶絶してしまった!
研ぎ澄まされた緊張感が途切れる事のないテンションでいて、情熱的で官能的なプレイの連続に正直悶絶してしまった!
これ程に痺れたCDなのだが、氏に対するオマージュのカバーやリミックスされたモノ以外には御仁の他のアルバムは一切所有していない。
その答えは単に他のアルバムに興味が向かないのではなく、10年以上もこれに夢中になり続けている自分がいるのだからだ。
他のアルバムの出来がこれに劣るとは思わないし、この先に他のアルバムを聞かない訳ではないと思う。
しかしである…
先に書いた様に「我々はこのレコードに魂を捧げた」と本人が記しているのだから、その魂を受け止めるのに精一杯なのだ!と格好良く答えたいと思う今日この頃であります。
これからもこの美しくもあるが、苦味のある人生そのもののようである1枚のCDを特別な時間として楽しみ続けたい。
相当な覚悟を持ってこのアルバムをプロデュースされたKip Hanrahanにも改めて敬意を表したいと思う。
アルバム収録曲で1970年に発表された「Concierto para quinteto」を。