ホームレス ニューヨークと寝た男

ホームレス ニューヨークと寝た男

ライフの宮川です。去年から楽しみにしていたホームレス ニューヨークと寝た男」をやっと観てきました!
ネットで予告編を見かけて気になってたのです。
トランプ政権が国内外でなにかと話題になっているアメリカ。
彼のような大統領が誕生したという事で国外からでは伺い知れぬアメリカの側面を見た気分になりましたが、この映画もまた私たちの知らないアメリカを映し出します。
マーク・レイ、52歳。ニューヨーク在住のモデル兼フォトグラファー、俳優として働くことも。

ホームレス ニューヨークと寝た男

長身に整った顔立ち、しゃれた服を着こなす彼は街行く人のファッションスナップやファッションショーで美しいモデルたちを撮影したりと誰から見ても華やかな生活を送っているように見える彼ですが、ゴージャスなパーティーの後に戻る場所は…なんと友人の住むアパートの屋上。(友人にはナイショ!)
そう、“世界一スタイリッシュなホームレス”なのです!

ホームレス ニューヨークと寝た男

監督のトーマス・ヴィルテンゾーンはマークの元モデル仲間で長い付き合いだそうですが、そのマークと久々に再会した時そのホームレス生活を打ち明けられとても信じられなかったとか。
その場で彼のドキュメンタリーを撮る事を決めたそうです!
そして一眼レフカメラひとつで3年間マークに密着。
彼の生活を追い、そして彼の内面まで深く深く潜り込みます。

ホームレス ニューヨークと寝た男

マークは魅力的な容姿のみならず、人柄もとてもユニークでそのマークの魅力がこの映画の面白さを支えています。
ホームレスという言葉から受ける私たちのイメージとは異なり、悲壮感漂う雰囲気はなく自由で縛られず、都会のサバイバルを楽しむ様子さえ感じます。
「屋根とベッドがないだけさ。」
ニューヨークの美しい朝焼けや真夏の花火を屋上から見つめる姿がまた絵になります。
さすがモデル。

ホームレス ニューヨークと寝た男

この監督も撮る絵が美しいですね。
絵画のようなショットも多くものすごくセンスのある監督さんだと思いました。
ピエールカルダンなどの企業PVを手がけるオーストリア人監督さんだそう。

ホームレス ニューヨークと寝た男

そして冒頭から流れるジャズ、カッコいいなぁ〜と思っていましたが最後まで音楽もとても良かったです。
冒頭の曲は特にベースが良い…と思っていたら、なんとクリント・イーストウッドの息子のジャズベーシストのカイル・イーストウッドが楽曲担当でした!

ホームレス ニューヨークと寝た男

知りませんでした、イーストウッドの息子さんはベーシストだったのですか!
グラン・トリノでも楽曲を提供しているそう。確かにあの映画も音楽ステキだったなー。
ライフの杉山店長がグラン・トリノの熱いブログを書いてるのでそちらもどうぞ。

ドキュメンタリーが好きなのですが、これはまた監督のマークへの愛を感じる作品でしたね。
多分、長く時間を共有するうちにだんだんとマークが自らの抱える闇を吐露するようになったのでしょうが、屋上で美しい朝焼けに包まれながらずっと持ち続けている悩みや内面について語るその姿はあの社交的でユーモラスなマークとは対照的です。
きっとマークもこの監督だからこんなに自分をさらけ出せたんでしょうね。

ホームレス ニューヨークと寝た男

ニューヨークの家賃はどんどん上がっているそう。
13%増だなんて、住むだけでも大変じゃないですか!
中産階級がなくなり、二極化が進んでいるというアメリカ。貧困の問題は深刻です。
アメリカは日本の数十年後の姿といいます。
そんなニューヨークで、自分の好きな仕事をするという道の為にマークが選んだのは家を持たないという選択でした。
彼の生き方からは単に貧困の問題、というより選択肢が増えた今の時代に、生き方の多様性や人生の何に優先順位をつけるかという様々な問いが投げかけられていると思います。
それが監督を3年という長い期間、撮影へと駆り立てたものではないでしょうか。
この映画は観た人によって感想が分かれるそうです。
マークに全く共感できないと言う人もいる一方、映画を観た世界中の人からマークに感動した、勇気をもらったなどと手紙が届いたそう。
私も観る事が出来て良かったな、と思う映画でした。
これは劇中でマークが神話学者のキャンベルの言葉を自らでアレンジした言葉です。

ホームレス ニューヨークと寝た男

マークと編集者の菅付さんの対談が面白かったので添付させてもらいます。

予告編です。