キッズ・リターン
LIFEの杉山です今回の作品は北野武の第6回監督作品「キッズ・リターン」のご紹介です。
Story 気ままな毎日を送る落ちこぼれ高校生のマサルとシンジ。
マサルはカツアゲした相手が仕返しに連れてきたボクサーにやられたことをきっかけにボクシングを始める。
後を追ってシンジもボクシングを始めるが、才能を見せ始めるシンジにスパーリングで倒されたころでボクシングをやめヤクザになるマサル。
そして本格的にシンジはボクシングを始めるが・・・
出演:金子賢、安藤政信、石橋凌ほか
「キッズ・リターン」は北野武がバイク事故で重傷を負ったあ後の復帰後第一作目の作品です。
これまでの監督の作品と違うところは、主人公が始めて死なないという点です
そこには監督の生と死に対する人生観が色濃く反映しているようです。
そしてなんといっても主演の金子賢と安藤政信は実質これがデビュー作となるわけですが実にフレッシュでいい雰囲気を醸しています。
採用された理由が、オーディションで「絶対俺は受からないという顔をしてたから」というから、その後の彼らの活躍をみても監督の人材発掘のセンスが光っています
そして、ただただ単純な青春映画ではなく監督はリアルな挫折を描いていきます。
しかし間違いなく若い二人にはその先にはまだ希望が残されていることも感じさせてくれます。
監督がコメディアンであるという事からかカット割などには独特のセンスを感じますしネタの落とし方も巧妙です。
そして監督は極道世界の人間の描き方が非常に秀逸に感じます。
この作品でも組長である石橋凌が、普段から愛情のある面倒見のいい親分でありながら簡単に殺しの始末を舎弟に任せた後、ほかの舎弟に拳銃を持って出頭を命じるのです。
その時のあっけなさというか冷たさというのか、ゾッとするものがありますし非常にリアルです
重いテーマでもありますが程よい笑いも含まれて観る側を飽きさせません。
主人公の二人を観ていると応援したくなるのと同時に自分に対しても「頑張らねば」と思わせられます。
久しぶりに観て思いましたが、やっぱり好きな映画でした