アラン・ミクリ
alain mikli-アラン・ミクリ。
言わずと知れたメガネの人気ブランドです。
美しく磨き抜かれた高いデザイン性、そしてオリジナルの技術や独特なカラーを数多く持ちファッション性、実用性共に高く多数から圧倒的な支持を受け確固たる地位を築くもそれに甘んずる事なく常に前衛的で在り続ける、とにかくカッコいいブランドです。
昔、メガネ屋さんでバイトしていた事があります。
沢山の国内・国外のブランドを取り扱っていましたがその中でもやはりミクリは別格、お客さんからの認知度も人気も高いしコレクターも多い。
スタッフでも愛用者が多く、私もその店で初めて手に入れたのはミクリのメガネでした。
しかし少々アマノジャクな私は、とりあえず皆が知っていて、カッコ良くて間違いがないようなミクリを少し出来杉クン的ないい子ちゃん風に思い、少し心が離れた時がありました
そんな時、そのお店で顧客様を招いてのごく内輪でのパーティーがありました。
メガネ好きのお客様へのおもてなしの目玉として企画されたのがミクリのヴィンテージの展示と販売。
特別にミクリから借り受けた現在は販売されていない貴重なメガネの数々でした。
ミクリの経歴の中でも比較的若い頃の作品群。
今ほど洗練されてはいませんがその分ミクリ自身の表現したいという強い熱が伝わってくるような豪奢なメガネ達。
そんな中で一際異彩を放つ作品が
これです。私と仲の良いスタッフで名付けたのが「珍さん」色違いアリ。
明らかにビームが出る設定ではないですか。
その時、私はミクリに心の中で謝りました。
私の判断は間違っていたよ、すでに名声を得ている段階でこれを作ったアンタはまぎれもなく反逆児だ…
すげぇよ、アンタ…。
ミクリというデザイナーの底知れなさ、そして反骨心、デザインへの飽くなき欲求を感じて打ちのめされた夜でした
ミクリは「束縛を喜びに変える」をコンセプトに、メガネをフレームからアイウェア、ファッションアイテムに押し上げました。
「見るための、そして見られるための」メガネへ、数多くのファッションデザイナーとのコラボなど多くの偉業を成し遂げそして未だ進化しています。
以前橘が書いていたフィリップ・スタルクとも素晴らしい仕事をしています。
ミクリのメガネは美しい、しかしその奥にあるものを知るともっと好きになる。
ファッション以外でも、映画でも音楽でもこんな作り手の魂が伝わってくるような瞬間が好きです。
ものを作る、ていいですね。
私も作り手の端くれとしてこんな偉大な先達を見習いたいものです。
今となれば、珍さんを買わなかった事を悔やむばかりです