岡崎京子 ヘルタースケルター
マンガ好きの宮川です
今回は自分がとてつもない衝撃を受けた作品です。
「岡崎京子 ヘルタースケルター」
かの有名な先生の作品です。
完璧な美貌とボディラインを誇り人気絶頂にある謎めいたトップモデル、りりこ。
モデル業のみならずあらゆるメディアに引っ張りだこ、世の女性の羨望を一身に受ける。
何もかもを手にしているかのような彼女だがそれは虚飾と苦痛に彩られた、破滅をはらんだ美しさだった。
岡崎先生は言わずと知れた、ほぼ伝説ともなっている高名なマンガ家さんです。
簡素で美しく、華美な装飾を取り払った線、映像的な構成、そして文学的でさえある人間の内面をえぐるような描写。
当時は一大センセーショナルを巻き起こし、革新的というのみならずその際立ったオリジナリティにおいてその名を不動のものにしたと聞きます。
好きな漫画家、というとこの方を挙げる方も年代問わず、多いです。
この作品は1995年に書かれたそうですが、全く古さを感じない。
むしろりりこの服装や部屋をおしゃれ…と思うくらい。
素っ気ないぐらいの線ですがものすごく洗練されていてファッションもステキ
そして何よりも内容。
生々しすぎます。
随分前から持っている本ですが、今回紹介しようと手にとり、パラパラめくるうちにまた初めからじっくり読んでしまいました。
小説でも時間を置いて読み返すとまた違う味わいがありますが、今回もまた以前読んだ時とはまた違う点が印象に残ったり、やはりいつまでも手元に置きたい本です。
整形、というモチーフを使い女性の根源的な美への欲求を描いていますが、 その狂気にも似た執念は同じ女として自らの中にあるものとダブって尚更恐ろしい。
りりこの凄まじい存在感と底無しの孤独から目が離せません。
りりこと不思議な絆を結ぶ検事の麻田のセリフが印象的です。
「若さは美しいけれども美しさは若さではないよ。美はもっとあらゆるもの豊かにふくんでいるんだ。」
初めて読んだのはまだ21、2の頃でしたが、このセリフが何日間か頭を離れませんでした。
もちろん、このお話全てから受けた衝撃と共に。
こんな仕事をしているからかよく「美」とはという答えのない事を考えたりしますが、この本を読むとものすごく激しい形でそれを問いかけられているような気がします。
岡崎先生はほんとにスゴい方だと思います。
また終わり方がなんとも…。
ぜひ「TO BE CONTINUED」の先が読みたいものです