花であること

花であること

花であることでしか
拮抗できない外部というものが
なければならぬ
花へおしかぶさる重みを
花のかたちのまま
おしかえす
そのとき花であることは
もはや ひとつの宣言である
ひとつの花でしか
あり得ぬ日々をこえて
花でしかついにあり得ぬために
花の周辺は適確にめざめ
花の輪郭は
鋼鉄のようでなければならぬ

石原吉郎 「サンチョ・パンサの帰郷」より


花であること