印籠カメラ寫眞帖
先日、22日はオーナーの橘の誕生日だったのですが、その際に私がプレゼントに献上したのがこの本です
写真家、植田正治「印籠カメラ寫眞帖」です
世界で最も有名な日本人写真家、植田正治氏。
出身地の鳥取県境港市を拠点に活動し、その土地の美しさを世界に広めました。
「このカメラが目に入らぬか~」ベルトに付けたポーチから取り出したコンパクトカメラのスライド式蓋を開けながら齢80を過ぎた植田氏は茶目っ気たっぷりにそう言ったそう。
そんなエピソードから始まった植田氏本人によるショートエッセイを添えたこの「印籠カメラ寫眞帖」は『アサヒカメラ』にシリーズとして連載されていました。
この本はそのシリーズに加え更に同時期のまだプリントされていなかった作品を加えて構成されています
植田氏は生涯鳥取を離れず、山陰の山や空、そして砂丘をバックに人物をオブジェとして配置した演出写真は写真生誕の場フランスでも「植田調-UEDA‐CHO」として知られているほど。
しかしその手法にとどまらず生涯多彩で斬新な作品を撮り続けました
この写真集はそんな植田氏の最晩年の作品で、植田氏がゆく先々で目についたもの、気になるものなどに素早くシャッターを切る様が見えるようです
植田氏のお供となった印籠カメラはここに載せられている写真以上にもっともっと沢山の植田氏の視線に触れたのでしょう
コメントが添えられているのが気に入って、この本を買いました。
計算されつくした構図の写真が印象的な植田氏ですが、この写真達はむしろ瞬間的にシャッターを切ったようなものばかりではないか、と思うのでその時々の植田氏の息遣いが感じられるようなコメントがまた臨場感を際立たせるのです
最近はカメラの機能が素晴らしく、携帯でもかっこいい写真が簡単に撮れます。
プロとアマの差はなんだろう、などと思ったりしますがこの写真集を見るとなにか圧倒的なものも感じるのです
鳥取にある、植田正治写真美術館にも是非行ってみたいです