リアリティのダンス

リアリティのダンス

以前に書いたアレハンドロ・ホドロフスキーの「リアリティのダンス」観てきましたダンスダンス
珍しくものっっすごく期待して出かけたのですが……
期待通りどころか期待よりはるかに良かったですキャラ万歳キャラ万歳
前にも書いたようにエル・トポなどの評判はよく聞いていましたがこの監督の映画を観るのは初めて。
カルトの鬼才という触れ込みなので一体どんななんだろう…とワクワクしていましたが。
リアリティのダンスは大人のおとぎ話のような、でもひやりとした冷徹な視線も貫きつつそれでも美しい叙情詩のような作品でした。

リアリティのダンス

1920年代、軍事政権下のチリで、ウクライナからの移民であるホドロフスキー少年は両親と共に小さな港町、トコピージャで暮らしている。
共産主義者で家庭の中でも圧倒的な権力者である父親と元オペラ歌手の母親に愛されたいと少年は切に願う。
家庭でも外の世界でも疎外感を味わい、世界の狭間でもがく少年は、この世界にどんな夢を見るのか…。

リアリティのダンス

不思議で魅惑的な雰囲気を作り出すセット、衣装、そして演出。
ところどころ監督本人が出てくるところがなんだかキュートかわいい
監督が自身の少年時代役の男の子を後ろから優しく抱き締める様は監督が過去を、そして過去を取り巻くあらゆる事象を受け入れ昇華させている暗喩でしょうか。

とにかく素晴らしい映画でした。あらゆるところにこだわった作り、意表をつくストーリー、チリの美しい風景。
監督が実際に少年時代を過ごしたトコピージャで撮影が行われたのだとか!
そしてホドロフスキー少年の父親役はエル・トポで少年役を演じた監督の息子ブロンティス・ホドロフスキー。
同じく監督の息子はあと二人も出演、その一人アダン・ホドロフスキーは映画の音楽も担当しております。
ホドロフスキー監督は95年に三男テオを亡くし、それ以降はアートを産み出す理由を考え続け、人を癒す事を目的とするようになったそうです。
そんな監督が生まれ故郷チリ・トコピージャで息子たちと共に自身の過去を振り返る映画を作ると言うのは家族というものに対しての特別な深い旅だったのではないでしょうか。
魂を癒し家族の再生を描く、という映画のうたい文句がストンと胸に落ちました。
カルトの鬼才、という評判でどんなヤバい映画を見せてくれるんだ!!
と勢いこんで行きましたがある意味では期待通り、しかしとても気持ち良く期待を裏切って見たことないようなはるかかなたに連れ去ってくれる、素晴らしい映画でした拍手
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