ビル・カニンガム&ニューヨーク

ビル・カニンガム&ニューヨーク

今年の年が明けてすぐに観た映画です。
2013年の上映だったのですが、その時から観たかったのですカメラ目
ずっと気になっていたこの作品。本当に良かったです!
「プラダを着た悪魔」のモデルと言われるアメリカ版ヴォーグの編集長、アナ・ウィンターをして「私たちは毎日、ビルのために着るのよ。」と言わしめたカメラマン。
彼女は他のカメラマンの「アナ!」の声は無視してビルの前にだけ立ち止まる。
この映画の中でも彼女はビルについて語る、他にも多くの著名なファッションピープルが。
彼のなにが人々を惹き付けるのか。
この映画を観ればそれがわかる、そしてまた彼らと同じようにビルに惹かれる。
ビルの無邪気な笑顔がいつまでも心に残る。
ニューヨークの名物フォトグラファー、ビル・カニンガム。
しかし彼と親しい人でも彼のプライベートは知らないという。
そんなビルに8年がかりで交渉、撮影には更に2年かけて10年の制作期間をかけて撮られた映画。
この映画で、ビルの毎日、そしてそこから見えるビルの仕事を知ることが出来る。

ニューヨークタイムズ紙の人気ファッションコラム「ON THE STREET」と社交コラム「EVENING HOURS」を長年担当するフォトグラファー、ビル・カニンガム。
ニューヨークのファッションを50年以上その目で見つめ続け独自の視点で切り取ってきたストリートファッションスナップの元祖的な存在。
コレクションの時はスタッフから「最も大事なゲストだ」と招き入れられていました。
80歳を超えた今も世界中から注目され影響を与え続けています。

ビル・カニンガム&ニューヨーク

しかし彼自身はトレードマークともなっている作業着のブルーの上っ張りを着て自転車でニューヨークを走り回る。
食べ物にも住むところにも頓着せず、ひたすら彼の目はファッションとそれを愛する人に向けられている。
連日夜にはチャリティーパーティーや社交界のイベントに出掛けるが、「ニューヨークタイムズの看板は汚せない」と水一滴口にしない。
写真家としての客観的な立場を守る為。
あまりにもストイックなように思えるが、ビル自身がとても楽しそうなのですてれてれ
ものすごい人物なのに、どこまでも謙虚でしかもとても愛らしい…目がハートネコ
人懐こい笑顔がたまりませんドキドキハート
ビルの周りの人々もみんなビルの愛らしさにやられている模様。
誠実で実直に、そして美学を持って真摯に仕事に向き合う姿にみんな魅せられているようです。

2008年にフランス文化省から芸術文化勲章を受勲した時の映像も収められているのですが、そこでのコメントも光ります。
「私のしていることは仕事ではなく喜び」
監督は語ります。
「私は彼の伝記映画を作りたかったわけではなく、喜びといった目に見えないものを捕らえたかった。それはビルの本質でもある。」
とにかく楽しそうなおじいちゃんが可愛いかわいい
ビルがプライベートな質問にも表情を変えず誠実に答える姿にも透き通った美しさを感じます。
この映画を見ているうちにどんどんビルが好きになります。
彼の周りにいる人たちもきっとそうなんだろう、と思います。
なんて癒される笑顔なんでしょうか光るハート

ビル・カニンガム

ビルの言葉でズシンときたものをひとつ。
「ファッションは鎧なんだ、日々を生き抜くための。手放せば文明を捨てたも同然だ。」
この仕事をする私にはとてつもなく重い言葉でした。
ニューヨークのたった1館の映画館から始まり全米で異例の大ヒット。
各国でもたくさんの観客賞を得ています。
観ればその理由が分かる、本物とはこういうものだから。
ファッションに興味がある人にもない人にも、ぜひ。