パット・メセニー / From This Place

パット・メセニー / From This Place

パット・メセニー / From This Place

LIFE / LIFE ADOREのタチバナです。
今年の2月にリリースされた「Pat Metheny / From This Place」
3か月程ほぼ毎日リスニングしておりますが、簡単に言い表せることが難しい凄みがある作品です。

パット・メセニー / From This Place

パット・メセニー / From This Place

パット・メセニー / From This Place

今作の参加アーティストはピアノにグウィリム・シムコック、ベースにリンダ・メイ・ハン・オー、ドラムスはアントニオ・サンチェスのカルテット。
ハリウッド・スタジオ・シンフォニーによるオーケストラも加わり、そのアレンジにギル・ゴールドスタインとアラン・ブロードベントのクレジットがあります。

また、表現力豊かなハーモニカの名手グレゴア・マレも参加し、表題曲を唯一のボーカルトラックとしてミシェル・ンデゲオチェロも参加。
オーケストラによる音色とパットによるシンセが今作を更にシリアスに、そして深みを増しています。

パット・メセニー / From This Place

4年前にこのカルテットによるライブに行きましたが、ベテランのパットと共演歴が長い経験豊かなアントニオ・サンチェスに、そして新たにパットに指名を受けた若い二人が絡む素晴らしいライブの記憶が残っております。

パット・メセニー / From This Place

アルバムジャケットのモノクロの竜巻の写真にも感じるものがあります。
全てを破壊するであろう恐ろしいフォトからは、不安的要素、危機感や絶望などが感じられる。
アンチトランプを公言しているパットですが、彼の祖国である今のアメリカの現状に考えや憂いなどがあるのでしょう。

また今作リリース直前に伝えられた彼の長年の盟友ライル・メイズの悲報には驚きました。
苦しく悲しい時間は続きます...

しかし現在世界中で猛威を振るうウイルスによる苦しみの中、その状況下で今作を聞くと改めて感じるものがあります。

パット・メセニー / From This Place

その深く沈んだ場所から、一歩先へ。
希望を持つ事が出来る、前進する気力を感じられます。

アルバムを通して聞く事をお勧めしますが、ミシェルが歌う「From This Place」
まるで失ったもの、傷ついたもの達への鎮魂歌のよう。
心が震えます。

Pat Metheny Group時代のトラックのような躍動感があるドラマッチックな美しい曲「Sixty-Six」
まったく偶然であるのか、盟友ライルは享年66歳。
制作時には闘病をしていたであろう、かつての相棒ライルにパットが送ったかのように思いました。

次の違った景色を見る為に、一歩一歩前進し続けたいと思います。