オノ セイゲン / After You...

オノ セイゲン / After You...

オノ セイゲン / After You...
Seigen Ono/ Comme des Garçons Volume One+Two

LIFE / LIFE ADOREのタチバナです。
「誰も、まだ聴いたことがない音楽を使いたい」「洋服がきれいに見えるような音楽を」という、COMME des GARÇONSの川久保玲氏の依頼によってショー用の音楽としてオノ セイゲン氏が制作

オノ セイゲン

オノ セイゲン
日本が誇る屈指のレコーディング・エンジニア、マスタリング・エンジニア。
音楽家としても活動されており、自らが設立されたSaidera Recordsよりオリジナルアルバムも多数リリースされています。

自分が好んで聞く国内外の音楽の多くに、エンジニアとして参加されていることで知ったオノ セイゲン氏。
その名前は探すほどに見つかり、興味を持った記憶があります。

自分のセイゲン氏の当初のイメージは、音楽制作の裏方の職人さんのイメージ。
ある時に憧れだったコムデギャルソンが何やらCDを発売するというので、お店に出向いてCDを手にしました。
そこにはCOMME des GARCONS Directed by Seigen Onoとのクレジットが。
即買いして、その当時持ち歩いていたSONYのDiscmanというポータブルCDプレイヤーで歩きながらすぐに聞いたことを覚えています。

それはとてつもなくクリエイティブな想像力を掻き立てられる音の粒子が収められており、川久保氏のオーダーの通りに全く聴いた事がない音楽でした。

初めに購入した「Volume One」の冒頭を飾る「Something To Hold On To」
有機的な弦楽器や管楽器の音と、デジタルなビートが重なりアート・リンゼイのノーチューニングなギターが縦横無尽に飛び交う全く未知な音。
その当時はなんとも言葉に出来ない、しかし自分が感じるコムデギャルソンのインテリジェンスなPUNKのイメージにまんまハマりました。
刺激的かつ退廃的で、官能を揺さぶられる他にはない唯一無二な存在。
ファッション、ミュージック共に、紛れもなくARTになり得る事を知りました。
とんでもなく興奮して、数日聞きまくりましたw

その後すでに1枚だけリリースされていたファーストアルバムを購入。
氏の作品は多くを所有しておりますが、中でも1994年にリリースされた「Bar Del Mattatoio」と「Montreux 93/94」の2枚は今でも愛聴しております。

Seigen

Bar Del Mattatoio

Montreux 93/94

「Comme des Garcons Volume One+Two」

1987年に制作され、ニューヨーク、パリ、リオデジャネイロ、東京にて録音。
当初はVol.OneとTwo別々にリリースされていたものが1992年に「Comme des Garcons Volume One+Two」として再リリース。
1998年にはSeigen Ono And Arto Lindsay - CDG Remixのトラックが追加された「Comme des Garçons + Remix With Arto Lindsay」
2008年「SACDハイブリッド盤」
そして2019年、彼自身によるリマスタリングで30周年記念アルバムとしてコムデギャルソンのショーのために作曲された楽曲の未発表音源CDG Fragmentation」と共に再びリリースされました。

ご自身もこの作品には相当な思い入れをお持ちだと思われますが、レコーディングエンジニアとしても活動されておられますので、時間の経過と共により良い音にアップデートしたものを継続してリリースされているのだと思います。

自分もOneとTwoを別々に、このVolume One+Two、Remix With Arto Lindsay、OneのUKアナログ盤、SACD盤は持っていなくて、30周年盤…所有していますというかしすぎておりますw

Seigen Ono / Comme Des Garcons Volume One+Two

参加ミュージシャンがヤバい。
先にもリンクしていたアート・リンゼイ、ピーター・シェラー、ビル・フリゼール、ジョン・ルーリージョン・ゾーン、マーク・リーボウ、フレッド・フリス…などなど。

Oneは特にコンセプトが感じられ、川久保氏の「誰も、まだ聴いたことがない音楽を使いたい」という要望に応えられておられます。
様々な音と多様なスタイルが混在しており、無国籍でストレンジ。
しかし懐かしさも感じたり、まるで白昼夢を見ている様な音の世界。

Twoは弦楽器が使われているクラシカルな曲や、ブラジリアンな親しみやすい音楽、Marching Band風、管楽器や鍵盤打楽器などアコースティックな楽器がフューチャーされている楽曲、ジャズコンボ風などなど。
多彩で心地よく温かみのある音が、これもまた夢の中にいる様な気持ちに。
どちらのディスクもサウンドメイクとアレンジにセンスを感じます。

Comme des Garçonsが好きな人にも、あまりファッションに関心がない人にも、この作品を未体験でいるのは非常に勿体無いと思います。
ファッションショーの為に作られたコンセプチャルなアルバムですが、セイゲン氏のアーティスティックな作家性も充分に感じる事が出来る素晴らしいART作品だと思います。

「After You...」

dip in the poolの木村達司氏がProgrammed、セイゲン氏がAll Instrumentsとクレジットとあるこの美しい曲。

向かうその先には何があるのか…

お先に失礼、確かめに参りたいと思います。