マイルス・デイヴィス: クールの誕生 Miles Davis: Birth Of The Cool
LIFE / LIFE ADOREのタチバナです。
先日に「マイルス・デイヴィス: クールの誕生 Miles Davis: Birth Of The Cool」をNetflixにて視聴しました。
スタンリー・ネルソン・ジュニア監督による長編ドキュメンタリー映画で、1989年の自叙伝「Miles: The Autobiography」から引用された文章を元に、俳優のカール・ランブリーがマイルスが語っているかの様な"かすれ声"でマイルス風にナレーションを務めているのが面白く思いました。
当時の映像に加え、マイルスの知人や関係者達、著名な同業者や門下生達、元カノや元妻…出演者も豪華です。
「彼の生い立ちや、音楽の手法、交友関係、そして彼の中の悪魔を探り出すことで、元来からアメリカにあったジャズという音楽ジャンルを再定義し、ロック、ファンク、そしてヒップ・ホップまで、何世代にも及ぶ幅広いジャンルのミュージシャンたちに影響を与えた男についてようやく深く理解し始めることができるのです。」と監督はコメントをされています。
マイルスはタイトル名と同じ「クールの誕生 Birth of the Cool」という名のアルバムをCapitol Recordsより1957年にリリースしておりましたが、映画の方は幼少時より晩年までの彼の一生を、監督が紐解いて行きます。
13歳の時に歯科医の父からトランペットをプレゼントされて以来、地元のセントルイスの楽団での代役での出演に始まり、ニューヨークでの修学時代を経て、チャーリー・パーカーの元でビバップ奏者としてのキャリアを重ねる。
編曲家のギル・エヴァンスらとの出会いと、ギルとの相性の良さなどから新たな可能性を模索し、アンサンブル九重奏団での制作によって「クールの誕生 Birth of the Cool」を発表します。
ジョン・コルトレーンを擁する第一期クインテット時代。
パリに招かれて映画のラッシュを見ながら即興演奏で録音したルイ・マル監督作品「死刑台のエレベーター」のエピソード。
黄金クインテットと呼ばれた第ニ期クインテット時代を通過し、いわゆる70年代のエレクトリック・マイルス時代。
有名な空白の5年。
カムバックしてからも活動意欲は収まらず、晩年に至ります。
また、警官からの暴行事件のエピソードや、無類のスーパーカー好きでクラッシュしての入院生活とそれが原因でその後遺症に苦悩。
ボクシングをたしなみ、女を愛す。
そして麻薬に溺れる…。
一心不乱に絵を描き、常に新しいチャレンジを繰り返して世間を騒つかせ、ファンを熱狂させ虜にさせる。
そこには強烈な自我を感じます…。
…やはり帝王です。
話は逸れますが、数年前にその空白の5年時代を脚本、製作、監督と主演をドン・チードルが務めてマイルスになりきりw、ユアン・マクレガーと共演した映画「MILES AHEAD / マイルス・デイヴィス 空白の5年間」を観に劇場へ行きました。
話を本作に戻します。
今作品を視聴してみると以前から知っていたエピソードなどもありましたが、新たに知りえるエピソードもあり、関係者やかつてのレディー達によるインタビューが見応えがあります。
活動歴50年の波乱万丈をほぼ2時間に上手くまとめてあり感心しました。
麻薬などによる低迷期を何度も繰り返しながらも、それぞれの時代にエポックメイキングな作品を作りあげてきたレジェンドであり、ワンアンドオンリーな芸術家。
そしてその強烈な自我から発せられる圧倒的な存在感に、皆は夢中になるのだと改めて思いました。
好きなアーティストの一生を描いた映画やドキュメンタリーを見る事が好きですが、憧れの帝王マイルスのドキュメンタリーを見れて満足です。
氏の作品を割と所有し愛聴しておりますが、これからも聴き続けたいと思います。
映画は9月より劇場公開もするようですので、ご興味がおありの方は是非ご覧ください。
STAY HOMEをお楽しみの方達にも!