Angel Heart エンゼル・ハート
LIFE / LIFE ADOREのタチバナです。
今夏にお亡くなりになられたイギリス人映画監督のアラン・パーカー氏。
監督の作品はいくつか見ておりましたが、「ミッドナイト・エクスプレス」や「ミシシッピー・バーニング」などが好きな作品でした。
割と知られた話ですが、意外にも「小さな恋のメロディー」の脚本も手掛けられておりました。
1987年にミッキー・ローク主演で公開された「Angel Heart エンゼル・ハート」は、まさしく自分にとって「怖いもの見たさ」を体現出来るオカルティックな作品。
好きな映画や興味が失せないモノは繰り返し見るのですが、今作もそういった作品です。
ハードボイルドなサントラのジャケ写と、彼と監督が話している一枚ですね。
原作はウィリアム・ヒョーツバーグの小説「堕ちる天使」
未読ですが、内容の恐ろしさ、おぞましさから発売当時に「悪魔のバイブル」と呼ばれたそうです。
アメリカでは廃刊運動が起こったと聞いておりました。
当時その噂を聞いた自分は楽しみに映画館へ向かったのですが…想像を超える恐怖を感じました。
パーカー監督の描く光と闇、静と動、両極の緩急を上手く使った演出が見事で、そして独特な映像美が怖ろしくもあり、またそれを美しいとも思いました。
音楽を担当していたトレヴァー・ジョーンズの緊張感があるスコアも映像を引き立てており、何気にコートニー・パインが吹くサックスが非常にマッチしています。
やさぐれた探偵ハリー・エンゼルを演じるミッキー・ロークの演技もハードボイルド臭がシブくて良い塩梅です。
彼の出演作では一番好きかもです。
ロバート・デ・ニーロ、シャーロット・ランプリング、リサ・ボネット、他の演者もガッチリと固められており隙がない。
監督が描く世界観に圧倒されました。
話が進むにつれて舞台はNYからニューオーリンズに変わり、南部に漂うジメっとした空気感がスクリーンを覆う。
そこにはヨソ者を受け入れない様な閉塞感が始終感じられ、まるで自分がハリー・エンゼルになったかの様な気持ちに。
どんどんと深くて重く暗い禁断の領域へとハマっていく。
もう引き返せない…
それは本当に恐ろしいことなのです。
逆五芒星…
しょっぱなからデ・ニーロが演じる謎で怪しいリッチな依頼人の描写が引っ掛かり、気がつくと物語に引き込まれていました。
特殊メークやCGも使用されていないシーンでこの佇まい…
彼は本当に役柄を上手く演じる方ですが…怖すぎるw
意味深にインサートされる映像の数々や、繰り返される悪魔的な事象、ブードゥーの黒魔術、先にも書いた全体を覆う閉塞感…